店舗やオフィスを新たに構えたり、移転、増設する際にまずすることといえば何でしょうか。
賃貸であれば、希望地域から条件に合う物件を探し、賃貸借契約を結び、それと並行して内装のデザインや工事が必要になります。
今回のご依頼は、初めてバレエ教室を開業するというお客様です。
ダルクデコ株式会社のデザイナー・REIKOが担当させて頂いた、バレエスタジオのインテリアデザイン&内装施工の様子をご紹介します。
バレエスタジオ用の物件探し
ご依頼頂いたお客様は、30代のバレエダンサーのご夫婦。
初めてのご開業の地に選ばれたのは、東京都内の都心部にほど近いビルの地下1階の物件でした。

入居前のスケルトン状態の室内
バレエ教室などのダンススタジオを開業される際には、広告宣伝効果を兼ねて1階の路面店舗を探されることも多いですが、どうしても家賃が高くなってしまいます。
その点、地下だと1階よりは賃料が安く、また、足音などによる騒音の心配が少ないことから地下にある物件を選ばれる方も多いです。
店舗を借りられたことのある方はご存知かもしれませんが、オフィスの賃貸の場合には入居時、床や壁などが綺麗に整えられ、デザイン性などにこだわらなければそのまま家具や機器を設置してすぐに使用ができるのに対し、店舗の賃貸の場合にはこのように‘スケルトン’と呼ばれるコンクリート打ちっぱなしのような状態で貸し出されることが多いです。
契約上は、このスケルトン状態で借り、退去する際に同じスケルトン状態で返すよう求められることが多いのです。
地下で外光がほとんど入らない上に、床のはがれたこの状態。
少し驚きますし、なかなか綺麗な状態が思い浮かばないですよね。
お客様のご要望は、小さなお子様たちがバレリーナを夢見て、日々練習に励めるような夢のある空間を、ということでした。
そこでREIKOは、この地下にあるという物件の特性を活かして、照明の効果を最大限に活用し、エントランスの扉を開けると『パリジェンヌが集う隠れ家スタジオ』が現れるような空間をイメージしてデザインをいたしました。
バレエスタジオの施工後

施工後のバレエスタジオの様子
生徒さん達が日々練習を重ねられるバレエスタジオの床には、無垢材を使用。
無垢材は、天然木ならではの柔らかさがあります。
そのため、ダンサーが着地した際の足への衝撃を和らげてくれる効果もあり、不慮のアクシデントによる怪我を最小限に留めてくれます。
また何よりも、自然そのものの風合い・表情が、目に優しく映りますね。
窓に掛けたブラインドは、REIKOがオリジナルでデザイン。
白をベースにグレーとピンクのラインを差し入れ、等間隔にバレリーナのシルエットになっているステッカーを貼りました。
ブラインドは開閉するため、ステッカーの貼り方にも細かな工夫が施されています。
もちろん壁一面には、バレエスタジオには欠かせない大きな鏡を設置。
更衣室の内装デザイン
今回お客様が選ばれた地下の物件は、1フロア60㎡ほどの空間のちょうど真ん中辺りに間仕切りの壁がありました。
その間仕切りの壁で区切られてしまう空間を活かし、カーテンで仕切りをつけた更衣室を配置しています。
左手に見える時計の壁。
実は扉になっており、その扉の中には分電盤が設置されています。
開閉できる機能は持たせながらも、見せたくない部分は隠す!
扉を敢えて活かし、壁掛け時計とパリの時計台をイメージしたウォールステッカーを組み合わせ空間のアクセントにしました。
こちらのバレエスタジオのシンボル的存在になってくれています。
インテリアデザインは、細やかな気配りと、伝統に基づく創造的なアイディア、さらにはデザイナー各々のセンスで、機能性と装飾性をバランスよく重ね合わせていくものです。
スタジオと更衣室の間仕切りで取り付けたカーテンは、無地の生地を用いつつ、裏(光沢)表(マット)で少し表情を異にする生地を使い、トゥシューズをイメージして裾を切り替えたスタイル。
横と縦の斜めに細いピンクのラインをデザインとして這わせ、トゥシューズのリボンからインスピレーションを得た大きなリボンを飾りました。
このリボンは、教室へ通われるお子様たちへの空間のプレゼントの意味合いを込めています。
また、スタジオの窓に掛けたブラインドとも色味でリンクされているのです。
実は、今回のお客様はスタートアップということもあり、1,000万円以上もの金額を内装にかけるようなご予算はなく、リーズナブルなアイテムを取り入れてアイディア勝負で仕上げている部分も多くあります。
REIKOがデザイナーとしてお伝えしたかったのは、例え十二分にお金をかけられなくても、デザインを少し加えることで夢のあるオリジナルのシーンが創造できるということ。
作り手である私どもから、施主のお客様を通じ、日々レッスンに励まれるお子様たちへのプレゼントとして空間を作り上げたいとの思いで知恵を絞り、トータルにデザインしています。
更衣室にある間仕切りの壁には、圧迫感を減らすために高さが段々になった棚をロッカーとして備え付けて。
棚を奥へ向かうほどに高くなるように設置し、照明もそれに合わせて高さを変え、奥行きを感じさせるように工夫しています。
棚の上に取り付けた照明は、淡いピンクのボタニカルパターン生地を使ったシェードの照明で、スイスの高級ファブリックブランドFISBA(フィスバ)と、弊社でコラボレーションして製作したオリジナルの照明です。
(FISBAと弊社でコラボレーションして製作したオリジナル照明については、こちらをご覧ください)
また、棚の上にもバレリーナのウォールステッカーを貼り、スポットライトを浴びながら踊るバレエダンサーをイメージ。
子供達は、スタジオに隠された“小さなダンサー”を見つけるのがとても得意です♪
パウダールームとトイレ
パウダールーム(洗面所)の天井にも、シャンデリア型のオリジナル照明を使っています。
シャンデリアの枠組みからは、異なる色でデザインしたタッセルが飾りとして吊り下げられているのですが、写真からお分かりになるでしょうか。
パウダールームの壁にはペールピンクの壁紙を貼り、一部クロスをグレーに切り替えてアクセントにして。
壁に取り付けた写真立ての中には、バレリーナの立ち姿のフォト。
これは、REIKOが以前フランスのオペラ座を訪れた際、気に入って購入し、個人的に持っていたバレリーナのポストカードを額に入れてプレゼントさせて頂いたもの。
その時には、まさか自分がバレエスタジオの内装デザインを手掛けるとは思ってもみなかったそうです。
まとめ
今回のバレエスタジオの内装デザイン&施工例はいかでしたか。
スタジオの中には他にも、トゥシューズのウォールステッカーが貼られていたり、エントランスにもオリジナルの照明を下げ、空間全体が上質な統一感をもちつつも、子供たちが喜んでくれるような仕掛けも散りばめています。

素敵なご夫婦お二人で力を合わせて始められたこちらのバレエ教室は、お二人のお人柄やバレエダンサーとしての実力、ご指導力はもちろんのこと、
「うちのバレエ教室って可愛いんだよ♪」
そんなお子様や保護者の方の口コミの効果もあり、日を追うごとに生徒さんも増えて、賑やかに毎日レッスンされているようです。
映画鑑賞会やクリスマス会、プチ発表会などもこのスタジオで開かれており、私たちも送って頂いた写真を嬉しく拝見しています。
そして、こちらのバレエスタジオのインテリアデザイン及び内装施工ですが、大変ありがたいことに日本インテリアファブリックス協会主催のコンテストにて、部屋mite大賞も受賞致しております。
青山不動産テラス(ダルクデコ株式会社)では、物件探しからインテリアデザイン、内装工事までをすべてまとめて承るワンストップサービスを行っております。
最近のリノベーションブームで、不動産会社がリフォーム、リノベーションを行うことが増えて来ていますが、インテリアデザイン会社が物件のお探しから一貫してお手伝いすることは極めて珍しく、大変ご好評をいただいております。
バレエスタジオやカフェ、レストラン、ホテルやエステサロンのほか、オフィスの新設やご移転を考えられている方も、プロが責任をもってご相談からご契約、デザイン、お引渡まで担当致しますので、お気軽にご相談ください。
バレエスタジオに関しては、住居併設の一戸建ての企画から、外観・内装含めたトータルデザイン、建築施工まで一貫して承った施工例もございますので、もしよかったらこちらの記事もご参照ください。