都心の1LDK、家賃20万円弱の賃貸マンション。
ペット可。
都心部で働くカップルや、共働きの夫婦、小さなお子様がいるご家庭では、引越をして都内で新しい生活をスタートさせようとするときに、ひとまずは気軽に賃貸で、お互いが便利な場所に住まいを探される方も多いと思います。
私たちダルクデコ株式会社がインテリアデザインをしたこちらのお部屋も、ご夫婦が通う渋谷の職場まで歩いて行くことができ、最寄りにはJR山手線や東京メトロなど複数の路線が乗り入れている駅がある都心の便利な立地。
渋谷区、広さ55㎡、1LDKの賃貸マンション。
家賃は20万円弱。
オートロックがついて、ペット可。
引越にあたり、インテリアにかける予算は100万円。
さて、賃貸マンションの1室はインテリアでどれだけお洒落にできるのでしょうか。

賃貸マンションを借りるときのポイント
賃貸物件を借りるときに重要視するポイントはどこでしょうか。
会社や実家への距離、交通の便、家賃、間取り、オートロックなどのセキュリティー、ペットが飼えるか否か等々。
たくさんポイントがあって迷ってしまうかもしれませんが、お部屋を探すときには、そこで自分や家族が日々暮らし、笑顔で穏やかに生活できるイメージが湧くかというのをぜひ大切にして頂きたいと思います。
こちらの部屋を借りる際、ご夫婦が決め手とされたのは、職場に近く、交通の便が良いこと、そして家全体に回遊性があること。
ベッドルームからウォークインクローゼットを抜けてリビングへと繋がり、さらにはダイニングから続くキッチン、バス&パウダールーム、廊下へと家中を回遊することができる間取り。
実はお二人は猫を飼っていて、ペットの飼育が可能なことはもちろん、この回遊性があることでネコちゃんがストレスなく家中を移動できることがポイントでした。
また、家具の配置や生活そのものをイメージした時に、リビングとダイニング空間が繋がりつつも、ゾーンとして分けることができるのも大きな利点でした。
賃貸の場合には気をつけて。退去する時の原状回復
こちらの住まいのインテリアデザインを行うにあたり、目標としたのは「賃貸でも住み手が自分たちらしく暮らせる住まいづくり」をすること。
賃貸とはいえ、そこで暮らし、貴重な時間を過ごすことには変わりのない家。
できるだけ自分好みの快適な空間にしたいものです。
ただ、賃貸住宅には持ち家に比べて制限もあります。
一番忘れてはならないのが原状回復のこと。
賃貸の住まいである以上、いつかは引越し、退去をすることになるのですが、その際には元々あった形、つまり現状に復帰をさせて大家さんに返さなくてはなりません。
自分たちの住む家にお金をかけるのならまだしも、返す時に無駄なお金はできるだけ使いたくないですよね。
そんな理由で、今回壁紙に使ったのはなんとマスキングテープ!
テープなので、ペリペリっと剥がせば元の状態に戻せます。
さてさて、その出来映えはいかに。
リビングルームのインテリア

玄関から廊下をまっすぐ進むとあるのがこちらのリビングルーム。
リビングルームの壁紙
左手の壁一面には、グレーのインテリア用マスキングテープ(ブランドはmt)、一番広いテープ幅(200mm)を貼りました。
ポイントは、レーザーの水平器を使って線がずれないようにまっすぐ貼ること。これが完成度を左右します。そして今回は、梁の部分までテープをかませることで、天井高を高く見せるという視覚効果を狙いました。
手作りのテレビボード
壁の手前に置かれたテレビボードは、ナイトテーブル2台を解体して作ったDIY作品。
背面の壁に対し、理想とする長さと色のテレビボードを置きたかったのですが、既製品では見つからず、オリジナルで作ってみることに。
ボードの部分の木材は量販店で仕入れ、グレーで塗装。
インテリアや料理の本など、飾ってもお洒落な本をたくさんお持ちだったので、ボード下段にはお気に入りの本を平積みできるようにしました。

照明(ライト)
テレビボードの両サイドには、「JAKOB SCHLAEPFER(ヤコブ・シュレイファー)」というスイスの有名ファブリックエディターと、弊社とでコラボレーションしたオリジナルの照明を2台。
この図柄、なんと1,000種類もの草花が描かれており、一つとして同じ絵がないというのが特徴です。
また、リビングの天井から吊り下げられたシャンデリアも、同じくスイスの代表的インテリアファブリックブランド「Christian Fischbacher(クリスチャン・フィッシュバッハ)=FISBA」と弊社とでコラボし製作をした、オリジナルのランプシェードを用いたもの。
こちらは、草花や蝶がシルバーグレーで描かれたファブリックを選びました。
(今回使用したオリジナルの照明についてはこちらの記事をご参照ください)
メインカラーと色選びのコツ
今回のお住まいをインテリアデザインするにあたって、メインカラーとして選んだのはグレイッシュカラー。
この色を選んだのには理由があります。
一つは、元々この家に備わっていた建具がグレージュ色で、その色味を生かして全体的に調和がとれること、
そして、住み手であるご夫婦が好きな色だということ。
リビングームの小物づかい〜アンティークやグリーンを用いて
テレビボードの背面の壁には、ご夫婦が趣味で買い集めてきた額を掛け、イエローオレンジで統一したアンティークプリントの絵を飾ることでアクセントカラーに。
さらに、床にグリーンを置くことで、リビング全体で都会の中にも自然を感じられるボタニカル(植物)なイメージにまとめています。
テレビボードの前には、元々お持ちだったソファーと、インターネットで見つけられたという100年ほど前のアンティークのセンターテーブルを配置。
その他、室内にさりげなく飾られている小物は、フランスなどを旅した時に出会ったアンティークです。
リビングルームのウィンドウトリートメント(カーテン)

壁や床と同様に、部屋の中で占める割合が大きく、イメージを大きく左右するのが実はカーテンです。
こちらの家は、玄関から室内へ足を踏み入れたとき、リビングとダイニングの窓が同時に目に入る間取りになっています。
そこで、二つの窓が統一性を保ちつつも、少し変化を加え雰囲気を変えてみることに。同じファブリックやスタイルを用いつつ、デザインにさりげなく変化を持たせています。
カーテンのスタイルは、シアー(レース)とドレープ(厚地)を組み合わせ、上飾りをつけた形。
使用したファブリックは、上述の「FISBA(クリスチャン・フィッシュバッハ)」のもの。
色はグレイッシュブルーで、「トワルドジュイ」*という柄です。
(*トワルドジュイとは、18世紀のフランスで生まれた、田園風景や人物が描かれている図柄のこと。)
そしてこの生地、とても面白いのです!
デザインのベースはクラシカルな柄ですが、スパイスの効いたモダンテイストを加えアレンジされています。
さらに、そこに描かれている人物が、実はマイケル・ジャクソンや、マドンナ、エリック・クラプトン等、世界的有名アーティストになっていて、それぞれがまるで中世の人々のような振る舞いで描かれているのです。
カーテンの上飾りは、生地の風合いを出すために綿を入れ、ふっくらと仕上げたフラットバランス。
一番のこだわりとしては、バランス中央に女性の図柄を配し、リビングスペースのモチーフにしたこと。
ここに暮らす家族が優しく穏やかに日々過ごせるよう、この女性であるミューズが見守っていてくれている、そんなイメージを形にしたものです。
曲線を描くフラットバランスのシルエットを際立たせるため、濃いグレイッシュブルーのパイピングで縁取り。
このパイピングは、インテリアではなくファッションで使われる資材を組み合わせ、ファブリックの絶妙な色にマッチさせました。
ダイニングルームのインテリア

こちらはリビングから続くダイニングルーム。
ダイニングルームの壁紙
ぱっと目に入るストライプになった印象的な壁も、マスキングテープを使ったもの。
元の白い壁紙にグレーのマスキングテープを貼ることでボーダー柄にしています。
マスキングの色をリビングのものと合わせることで統一感を出しつつ、テープの貼り方でアレンジ。
こだわりポイントとしては、幅の広いグレーのマスキングテープを貼った後に、両サイドに白のラインをいれたこと。
このホワイトのラインが入ることで、ヨーロッパではよく見られるトラディショナルでクラシカルな雰囲気になります。
ダイニングルームの壁の装飾
黒いシルエットがモダンな雰囲気を醸し出し、フォルムが好きで購入したというシカを壁の上部中央に飾り、その回りにはお二人がお持ちになっていた、たくさんの額を配置。
額の中に飾られているのは、リビングと同様アンティークプリントで、馬やインテリアの図柄のモチーフといった、ご夫婦がいつも眺めていたいアートをおさめています。
一見するとランダムに飾られているようなこれらの絵ですが、実は飾り方にもこだわりがあるのです。
センターには、一番お気に入り且つボリュームのある絵を飾り、そこを中心に辺や間隔を揃えて他の絵を飾っていきます。
こうすることで、ランダムでありながら統一感が得られるのです。
海外の家によく見る、このような絵や写真の飾り方をしたいと思い、ご夫婦で時間をかけて出掛ける先々でフレームを買い集めてきたとか。
リビングのテレビボードで使用したダークグレーの塗料でいくつかの額を塗装し、アンティークゴールドの額と組み合わせることで、一体感がありながら単一でない空間になることを意識しました。
ダイニングチェアと照明
ダイニングに選んだ椅子はワイアーチェア。
これはモダンスタイルの代表的な椅子です。
また、照明はあえてインダストリアルなスタイルを選び、ボリュームを持たせています。
ダイニングルームのウィンドウトリートメント(カーテン)

こちらのカーテンバランスの中央には、人々が集まっているシーンの図柄を抜き取り、家族や友人など多くの人が集まり、楽しく食事をする場であるダイニングルームであることを表現。
この中に、マイケル・ジャクソンやマドンナ、エリック.クラプトンがいる!と思うと、なんだかわくわくしてきますね♪
鏡とアンティークを織りまぜた小物づかい

ストライプ柄の壁の向かいに置いた棚の上には、サラ・グレースで購入された鏡を配置。
家は一ヶ所に留まる空間ではなくて、家族やお客様などがあちらこちらへと動き回る場所です。
額に飾られた絵を、背に椅子に腰掛ける人もこの鏡越しに絵を眺められるように、座った位置からの視点や角度まで意識して鏡を配し、この家のどこにいても、心地よい空間になるよう全体のバランスを考慮しています。
棚の上に飾られているキャンドルスタンドや、テーブルに置かれたナプキン、ナプキンリングなどはフランスで購入されたアンティーク。
ただし、飾られているものすべてが珍しいもの、高価な物なわけではなく、リーズナブルな物とも組み合わせ、全体の雰囲気を大切に過ごされています。
また、棚の上は季節に合わせて設えを変えられるよう、あえて余白をもたせて自由度を高めています。
まとめ 〜その後の日々の暮らし〜
今回の住まいのインテリアは、クラシックがベースにありながらインダストリアルなモダンスタイルと掛け合わせている折衷スタイルです。
このような折衷スタイル(エクレクティックスタイル)は、最新ホテルなどでもよく見られる形になります。
そして、今回ベースとなったグレーは、実はどんな色も受け止めてくれる懐の深い色。
グレーをベースにすると、小物使いで季節感や雰囲気を自在に変えられて、とても便利です。
こちらの賃貸マンションへ引っ越したのを機に、ご自分たちらしいこだわりのインテリアデザインへ思い切ってチェンジされたご夫婦。
30代のご夫婦が「自分たちの身の丈や年代にあった住まいを得たことに、とても満足をしています」とのことです。
都心にありながら、一歩足を踏み入れると自分たちの好きなものに囲まれた、穏やかで一番落ち着くマイホーム。
可変性のある空間で、季節や家族の形に合わせて設えを調え、日々の生活を楽しまれています。
今回、私たちダルクデコでインテリアデザインしたこちらの家、いかがでしたか。
デザイン、施工をしたのは、壁紙(マスキングテープ)、カーテン、照明、テレビボード、ダイニングセットなど。
費用は合わせて100万円ほど。
住まい探しから住まいづくりまで、お客様の想いをカタチにする仕事に誇りをもち、スタッフ一同、日々切磋琢磨しております。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。